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履歴書・・・一枚の紙切れ~1章 求人②~

「根性とやる気では誰にも負けません。少さいですが、体力も誰にも負けません。」

こんなんで。。。いいっかぁ。

あ、また漢字間違えた。

一体、何枚の紙使ったらいいねん。もう一回ヒャッキン(100円均一)行って履歴書買わないとあかんやん。

「根性とやる気では誰にも負けません。小さいですが、体力も誰にも負けません。」

初めていくお店の前で深呼吸をした。

面接・・・。

店長は少し太り気味の少しエロそうなおっちゃん。なんかこの関西弁じゃない感じが若干気に障る。

「んーとねっ。何でここを選んだのかなっ?」

「以前コンビニで働いておりました。小さなコンビニだったんですが、閉店することになりました。ですので、バイトの人全てが辞めざるをえなくなりました。あと、今までコンビニで働いていたのでレジ業務はできます。その経験を活かしつつ、接客の仕事にチャレンジしてみようと思ったため、こちらのお店を受けさせていただきました。」

なんとも、教科書にあるような言葉の羅列。

でも、決して。

「ウソではない」

面接の最後に

「そうね~いい中学校でてるんだねっ。高校は・・・んーこの辺なんだねっ。そっかぁ、じゃあ学校帰りも入れるんだねっ。じゃあ、採用決めたからねっ!」

「えっ?あっ、はい。ありがとうございます。」

ということで、即決まり。

なんか・・・・・こんなんでいいんだろうか。

心配。

「でも、まぁ、いっか。バイトき~ぃまりっ!!」

tel

「もしもし、美紀~。バイト決まったで。即決まり。なんかなぁ、来週土曜日になぁ、説明会みたいなんあるねん。」

「おーさおりよかったやん!これから一緒やなぁ!土曜うちシフト入ってないわぁ。確か藤原さん入ってるで。イケメンやから!」

「まじ!男前いるん?アツいやん!めっちゃ楽しみやわぁ。」

という話をして、電話を切る。

バイト決まったぁ!しかも即決まりとかうれしすぎやし。やっぱあの履歴書がよかったんやろなぁ!さおに「不勝利」の言葉は見当たらんなぁ!

でも、なんだろう、この複雑な気持ち。

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履歴書・・・一枚の紙切れ~1章 求人①~

日曜日、求人広告に目を通す。

「レジ打ちやったら、自信あるしなぁ。スーパーやったらすぐに雇ってくれそうやし。あーでも冬場のレジってめっちゃ寒いんやんなぁ。足むくみそうやし・・・・」

「テレアポかぁ。自給高いなぁ。でも、なんか電話して切られるイメージ。だるっ」

「ウエイトレスかぁ。そういや、ここ美紀が働いているとこやん。でもさおは接客好きじゃないし。ファミレスっていつもにこにこってイメージやしなぁ。あーでも美紀と一緒に働けるんやったら楽しいかも!そういや、さおっていっつも苦手から逃げている気がする。やってみようかなぁ。どうしよう・・・・」

「美紀に電話しよぉ。」

tel

「もしもし~美紀?今何してんの?」

「あーさおりやん。どしたん?今ひろしとかぁくんと遊んでるで」

「そうなんやぁ。いやぁ、美紀んバイト先なぁ、求人入っててんけど、募集してんの?」

「してんでー。さおり受けるん?」

「うん、迷っててなぁ。でも美紀と働けるんやったらいいなぁって思って。ほら、学校の帰り道やから働きやすいやん。」

「そやなぁ~。ぶっちゃけ楽やで。きいよ!!」

ということで、さおは美紀のバイト先であるファミレスに電話をすることにした。

美紀は学校でもかなり目立つギャル。アルバが大好きな典型的な女子高生。1年の頃から同じクラスになったことはないが、とある部活の下見のときに仲良くなった。それ以来プリクラを撮ったり、カラオケにいく仲。

早速バイトの面接。

2年ぶりに書いた履歴書。

緊張して高校名を間違えた。

「本田高校」

なのに、

「木田高校」

なんだそりゃ。くしゃっと丸めてゴミ箱へ捨てる。

自分の国語力のなさに改めて痛感。

PRポイント」

うーん、さおのPRポイントかぁ、なんやろ。ちょっと笑いでも取ってみよかな。

んー・・・

根性。・・・・・

根性と・・・・。

「根性と体力では誰にも負けません。」

なんか、おもしろくなさすぎ。オチがない!

そう、こんなところで茶目っ気をだしてみようかなっていうのが、関西人の心。

なーんてバカなこと言ってる暇はない!

あー思い浮かばん。。。。。

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履歴書・・・一枚の紙切れ~序章③~

「ただいま~」

「おかえり~。はよご飯たべやー」

「お母さん?」

「どうしたんや?」

「あんなぁ、バイト辞めることになってん。ってゆーか、バイト先、みんな辞めなあかんねん。」

「なんで?経営不振か?」

「うーん、わからへんねんけどなぁ、店閉めるんやって。」

「そうか、まぁ店の経営に関してはわからんからな。で、さおは次どうするん?」

「次のバイト探してみるわぁ」

「そっか。まぁ、さおは何でもできると思うで。体力もあるし。」

とはいったものの、どうしよう。

一体、さおにできることって何なんだろう。2年働いて気がついた。たぶん接客は向いてない。重労働も嫌い。

コンビニでやったこと?確かにレジ打ちはうまくなった。お札の数え方も早くできる。袋つめと、掃除と、、、、お酒の名前もかなり覚えた。ワインの拭き方も覚えた。

でも、さおのとりえって何なんだろう。

友達が夢を追っているなか、さおは、自分の将来が描けないでいた。付き合うならかっこいい人。それなりのブランド物好き。みんなと一緒で髪も染めた。「マジメっこ」って思われるのが嫌で、とことん遊んだ。だけど、できるとこは見せたい。そんな周りを気にするばっかりのプライドの高い自分。

なーんとなく、イメージがかっこいい、それだけの響きで選んだ「都会で働くOL」。そのためになんとなくの響きで選んだ「大学進学」。なんとなくかっこいいからって選んだ「マスコニュニケーション専攻」。

高校入学時は数学100点。学年トップだった成績も、だんだん落ちていった。遊びながらバイトしながら、勉強なんてできるわけがない。成績はもちろん下がっていき、高校1年生が終わるころには学年30番内にまで落ちた。まわりからは相変わらず一線をおかれるが、それもなんだか中途半端。

当初の目標、なんとなくかっこいいから「国公立大」も、いつのまにかなくなっていた。

これといって、目標のない自分。

「とりあえず」の自分。

進路選択で、友達が、「保母さんになりたい」って書いていたのをうらやましく思う。

純粋に、そんな明確に将来なんて決められないよ。

さおは一体何がしたいんだろう。

そんなときに起こった人生2度目の「バイト選び」

悩んだ。

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履歴書・・・一枚の紙切れ~序章②~

勉強はする。仕事もする。遊びももちろんする!

唯一嫌いだった、「誰かの言いなりになること」

それ以外のことはなんでもやった。

悪いこともやっちゃった。

そうしてすぐに過ぎていった2年間。

初めて人前で働くことを知ったんだ。初めてお金の大切さを知ったんだ。

そして、色々な人とのかかわりも。 知りました。

世間はクリスマス。明日は友達とクラブでイベント。だから今日はバイトがんばる!朝からサンタの服に着替えて店頭に立つ。

「いらっしゃいませ~」

サンタの格好をしたさおは、なんだかはがゆい。でもなんかうれしい。

こうやって、高校2年の冬は過ぎていくはずだった。あの話がなければ。

店長から呼ばれた。

「さおちゃん、もう高校3年やん。勉強せんでええんか?」

「んー正直言うと、バイト続けたいです。勉強も大切ですけど、おこずかいとかもらってないんで、今の調子で遊んだりするためには、自分で稼がないといけないんです。」

「そっか。実はな。」

「はい。」

「うちの店、閉めるねん。そやから、バイトもみんな辞めてもらわなあかんねん。来年の」

「えっ・・・・?」

「さおちゃんは高校生とは思えんくらいよぉ働いてくれて、ほんま助かったで。面接したとき、正直15歳とは思えんかったわ。採って大正解やったわ!さおちゃんありがとうな。それで、ごめんな。」

バイト・・・・辞める・・・?

そんなつもりなかったし、居心地のよいこの場所に3年間居るつもりだった。

どうしよう。

今日の帰りは、なんだか一人じゃ嫌やなぁ。

その日のいつもの帰り道は、なんだかオレンジのすっぱい香りがした。

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履歴書・・・一枚の紙切れ~序章①~

愛されること

たった6文字に秘められた、とてもツラクテ切ないこと

愛するより愛したい

そんな気持ちになれた

「1枚の履歴書」

1枚の履歴書。

私と彼の出会いは1枚の紙切れ。はかなくて、もろい紙。そんな1枚の履歴書。

今でもくしゃくしゃと丸めたくなる。私の5ねんかん。

「すみませんでしたっ!」

今日もバイトが終わった。寒空のなか、自転車をこぎ帰宅路につく。

私はさおり。16歳。県立高校に通う女子高生。とりたてて何ができるわけではないが、どちらかというと、なんでも「フツウ以上」にできる女子高生。実家が自営業を営んでいた経歴もあり、さおが「バイトしたい」と言ったら親はすんなり許可してくれた。

部活なんて、かったるい。高校1年生からバイトを始めた。

とある、コンビニエンスストア。

コンビニで一番年少だったさおは、みんなから好かれていた。オーナー、店長、バイトの人。

いっぱい謝った。いっぱい誤った。

でも、いっぱい笑った。いっぱい出会った。いっぱい学んだ。

たくさんの思い出ができた。

毎日コンビニ前にたまっているいっこ上の先輩。一目ぼれした。毎日買いにくるシーフードヌードルのお湯。お湯を入れてあげて、「あつっ」ってゆって、興味をひこうとした。

コンビニに納品される商品の数々。ストック倉庫の裏で使用済みのダンボールを足で「ばんっ」って押すのが心地よかった。

冬になると新商品がたくさん出るチョコレート。どの高さにどの商品を置いたらお客さんは見やすいかな?買いやすいかな?そんなことを考えながらレイアウトを変える。勝手に変えて怒られる。

毎日お酒を買いにくるおっちゃん。朝から酒くさい。でも、お客さんと話しているとすぐに時間が経つので暇を作っては、しゃべっていた。おっちゃんは若い女の子が好きみたい。

なんでも丁寧に教えてくれるオーナー。私はオーナーの考え方が好きだった。だから自給650円のバイトだったけど好きだった。

意外と大変なクリーニングサービス。色んなにおいが混じりながらくる洗濯物。つり銭を間違えて、お客さんの家まで謝りにいったよね。

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